アレキサンダーファン
2016年03月掲載
ホルンなんでも盤版Bang! ~ライブラリー~ 「ホルンなんでも盤版Bang!」
ホルン関係のCD・楽譜情報を発信していきます!!


このコーナーでは、ホルンに関するディスクをご紹介いたします。
みんな知っている超定盤、「こんなのあったのか」という珍盤など、ホルンが活躍するものなら何でも。その中から今回はこの2枚です。
ここでご紹介する盤は基本的には筆者のライブラリーですので、当サイトへの、入手方法などに関するお問い合わせはご遠慮くださるよう、お願い申し上げます。


盤版Bang!ライブラリー041

ホルンメッセ
シンフォニア・ホルニステン(林伸行、広川実、水無瀬一成、須田一之、小椋順二)
ホルンメッセ
1~3. シュノック:5つのホルンのための古い民謡による楽しいソナタ
4~7. ウーバー:3つのホルンのための組曲
8~12. モーツァルト:ディヴェルティメントK.439b 第2番
13~15. ミトゥーシン:ホルン四重奏のための小協奏曲
16~19. リヒター:4つの狩猟ホルンのための6つの小品より
20~22. ヒンデミット:4本のホルンのためのソナタ
23~30.

シュティーグラー:5つのホルンのための聖フーベルト・ミサ

ワコーレコード WKCD-0083

▼シンフォニア・ホルニステンは福岡、京都、東京、仙台と日本各地で活躍するメンバーで構成されるホルンアンサンブルであり、西日本を中心に各地で演奏活動を行なってきた。『ホルンメッセ』は3枚目のアルバムであり、ホルン三重奏・四重奏・五重奏を織り交ぜたプログラムが収録されている。
▼デュッセルドルフにあるライン・ドイツ歌劇場のホルン奏者でもあるギュンター・シュノックによる《5つのホルンのための古い民謡による楽しいソナタ》は、そのタイトル通り、ドイツ民謡のメロディがホルンらしい耳馴染みの良いオーケストレーションで演奏される。序曲〈愛の勝利〉は勇壮さの感じられるルネサンス風の曲。変奏曲〈私の全ての考え〉はゆったりとしたメロディが徐々にテクニカルに変容していく様が面白い。終曲〈愛は大いなる喜びをもたらす〉は行進曲風に盛り上がる。個人的にも、ぜひ一度挑戦してみたいと感じた。
▼シンフォニア・ホルニステンは全員がアレキサンダー103を使用しており、ブリリアントで張りのあるサウンドと息の合った厚いハーモニーが魅力的だ。また、CD用にこぎれいにまとまらず、思い切りの良さも感じられる生き生きとした演奏・録音であることも聴いていて楽しい。
▼デイヴィッド・ウーバーはアメリカの作曲家。《3つのホルンのための組曲》は1983年の作品だが、ハーモニー感のはっきりした明快な曲調を持つ。トリオだがスケール感の大きな演奏が印象的。モーツァルトの《ディヴェルティメントK.439b 第2番》も三重奏で、元々3本のバセットホルンのために書かれたもの。モーツァルトらしい美しいメロディが楽しめる。小手先だけの表現ではなく、フレーズを大きく捉えて歌っている演奏が心地良い。
▼ロシアの作曲家アレクサンドル・ミトゥーシンの《ホルン四重奏のための小協奏曲》は近年人気が高まっている曲だ。憂いを含んだロマンティックなメロディがあるときはソリスティックに、あるときは迫力のあるトゥッティで奏される。テクニック的な見せどころもあり、華やかで聴きばえのする曲だが、シンフォニア・ホルニステンの演奏では内に秘めたような感情も豊かに表現されている。
▼アントン・リヒターはメンデルスゾーンやシューマンと同年代の音楽家で、《4つの狩猟ホルンのための6つの小品》はすでに登場していたバルブ付ホルンを効果的に使いつつ、伝統的な狩りの音楽を描いている。その約120年後に作曲されたパウル・ヒンデミットの《4本のホルンのためのソナタ》はホルンという楽器の特性を十全に生かしつつ、同時に楽器へのこだわりによる制限を感じない深い音楽性を持たせた名曲。特に変奏曲である第3楽章には様々な「仕掛け」がほどこしてあり、演奏している方はそれがわかって楽しいのだが、聴き手に伝えるのは難しいことも多い。しかしさすがシンフォニア・ホルニステンの演奏は全曲にわたって曲の持つ音楽性を明確に伝えてくれるし、ドライブ感もあって引き込まれる。何より、聴いていてワクワクする。
▼ウィーン・フィルのホルン奏者でもあったカール・シュティーグラーによる《5つのホルンのための聖フーベルト・ミサ》はホルンアンサンブルのファンなら一度は耳にしたことがあるだろう。音色とハーモニーが大きな魅力のシンフォニア・ホルニステンとは非常に相性が良く、その豊かな響きを存分に堪能することができる。



盤版Bang!ライブラリー042

BERLIN CLASSICS INSTRUMENTS
―HORN GREATEST WORKS-
ペーター・ダム、ライプツィヒ放送交響楽団ホルン四重奏団(ホルン)、ペーター・レーゼル(ピアノ)、他
BERLIN CLASSICS  INSTRUMENTS ―HORN GREATEST WORKS- DISC1
1. サン=サーンス:ホルンと管弦楽のための演奏会用小品
2~4. シューマン:4本のホルンとオーケストラのためのコンツェルトシュトゥック
5. ウェーバー:コンチェルティーノ
6~8. ハイドン:ホルン協奏曲 ニ長調
9~11. ハイニヒェン:2本のホルン、2本のフルート、2本のオーボエと弦楽器、通奏低音のための協奏曲
12~15. テレマン:2本のホルン、2本のオーボエと弦楽器、通奏低音のための協奏曲
DISC2
1. ロッシーニ:4本のホルンのための《狩のランデヴー》
2. サン=サーンス:ロマンス ヘ長調
3~5. フランセ:ディヴェルティメント
6~7. メンデルスゾーン:男声合唱のための6つの歌曲より
8~9. シューマン:アダージョとアレグロ
10~11. グノー:ホルンのための6つのメロディ
12~15. ブラームス:ヴァイオリンとホルン、ピアノのための三重奏曲
16. ロッシーニ:前奏曲、主題と変奏 (《老いの過ち》第9巻より)

▼いわゆる「ベストもの」で、旧東ドイツの録音が豊富な廉価盤レーベル“ベルリン・クラシックス”からホルンソロ、およびホルンの活躍する室内楽等の名曲を集めたもの。2枚組全14曲収録で(私が入手したときには)2千数百円というお得プライスだった。しかもふたを開けてみれば、そのうち12曲をペーター・ダムが吹いている。ダムのCDを多く持っている人にとっては被ってしまう曲も多いが、そうでないなら、名手の演奏による名曲を一気に聴くことができるのだから、「買い」だと思う。
▼ペーター・ダムは旧東ドイツに生まれ、1959年にライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の首席ホルン奏者となり、その後1969年から2002年の長きにわたりシュターツカペレ・ドレスデンの首席を務めた。ヴィブラートをきかせたその演奏スタイルは当時の東欧風と分類されはするが、ホルン離れしたまるで木管楽器のような柔らかな音色と、終始“歌”を感じさせる(さらに言えば“器楽”と感じさせない!)柔軟な音楽性は彼を「オンリーワン」のホルン奏者たらしめている。……などということは今さら言うまでもないかもしれないが、好き嫌いはあるとしても、ホルンを吹く人ならペーター・ダムは一度は聴いておくべきホルン奏者であろう。
▼曲目としても、ホルンソロの主要レパートリーの多くが網羅されている。サン=サーンスの《演奏会用小品》やウェーバーの《コンチェルティーノ》、そしてダムがソロの1番を吹くシューマンの《コンツェルトシュトゥック》などはシュターツカペレ・ドレスデンのオーケストラ・バックで聴けるし、サン=サーンスの(有名な方の)《ロマンス》やフランセの《ディヴェルティメント》、シューマンの《アダージョとアレグロ》、ロッシーニ《前奏曲、主題と変奏》もダムのホルン+ピアノ伴奏で聴くことができる。とりわけロマンティックな表現の魅力あふれるブラームスのホルン・トリオも収録。
▼比較的レアな曲としては、ハイニヒェン、テレマンというバロック期の作曲家による複数の管楽器のための協奏曲が収められている(これらもホルンはダムが吹いている)。また、ライプツィヒ放送交響楽団メンバーによるホルン四重奏団の演奏では、ロッシーニの有名曲《狩のランデヴー》に加えて、メンデルスゾーンの合唱曲《6つの歌曲》からの2曲がホルン四重奏用のアレンジで収録されているのが面白いところだ。


アレキサンダーファン編集部:今泉晃一



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