アレキサンダーファン
2006年07月掲載
プロフィール
阿部雅人 阿部 雅人
福島県出身。東京芸術大学音楽学部卒業。在学中に東京フィルハーモニー交響楽団に入団。
ホルンを永沢康彦、大野良雄、守山光三、千葉馨の各氏に、室内楽を山本正治、中川良平の各氏に師事。
東京文化会館推薦音楽会出演。96年に福岡、97年に福島でリサイタルを開く。
現在、新日本フィルハーモニー交響楽団団員。東京ホルンクラブメンバー、東京ミュージック&メディアアーツ尚美講師、日本ホルン協会事務局長。
アレキサンダーホルンアンサンブルジャパンメンバー。
第09回 達人の息吹


こんにちは。
ワールドカップ、ダメでしたね〜。ちょっと期待はしてたのですが、そんなに甘くはなかったですね。でも、まあ仕方ないです。あれが実力だったのでしょう。何か今月は(これを書いているのは6月です)凶悪な事件や悲しいことが多かった気がするのですが、気のせいでしょうか?
僕も出来るだけストレスをためないように生活できたら…なんて思っているのですが、現実はなかなか…。日々の仕事や雑用に追われストレスは溜まる一方。お腹の脂肪も溜まる一方。
なんとかしなくては。

というわけで、気を取り直して、今月は口の奥の話をしましょう。

先月は呼吸のことを簡単に書きましたが、吸った息を吐き出す時に、まず通過するのは声帯と喉ですよね。その後、舌の上を通過してリップリードを鳴らすわけです。
当然、その声帯と喉や舌は演奏に非常に影響します。
アンブシュアは外からある程度見ることが出来ますが、喉となると見ることはほとんど出来ないので説明を難しくしているのですが、これも僕なりに考えていることを書きたいと思います。

まず最初に言いたいのは、アンブシュアと声帯、喉や舌は、別個には考えられないということです。喉や舌の使い方が適切ではなかったためにアンブシュアが崩れてしまうことはよくある事ですから。

例えば、ある一つの音を出そうとします。その時に考えるのは、まずアンブシュアをその音が出る状態に準備する。これが普通ですよね?
もしそれで音が、に外れてしまったら、誰でも今度はアンブシュアの緊張を強くして正しい音を出そうとすると思います。

でも外れた原因が、アンブシュアではなく、舌や喉の不適切なポジションだとしたら、その人はどんどんアンブシュアを固くしていくだけで、いつまでたっても美しい音色を出すことは出来ないでしょう?
逆の場合も、また美しく鳴り響く音を出すのは難しいのはすぐに分かると思います。

一旦肺の中に入った呼吸を、声帯と喉、舌やアンブシュアによって、一番適切なスピードにコントロールする。
と申しましょうか。

どれか一つが欠けても美しい音にはならないと思います。
いろいろと自分自身でやってみると、喉と舌の位置により、驚くほど音色が変化するのが実感できると思います。

喉はリラックスして、例えれば、ベルカント唱法(喉仏を下げて声を響かせて歌う歌い方。もう高校生の時の記憶ですが…)で歌っているときの状態に似ていると思います。
息も、体の前面を通して出すのではなく、背中側から鼻の奥に響かせて出すつもりで。
息を前面で通すと、地声で歌う感じになりますが、それは良くない。
喉は開けてください。
注意することは、喉を開けようとすると、歯まで下がってしまいやすいので、ここは気をつけてください。

それから、喉と声帯は近くにあるので混同されやすいですが、全く別です。
大学生だった頃、吹奏時の声帯の研究をした写真を見たことがありましたが、上級者ほど声帯は閉じているのだそうです。
僕は、高い音を出すときは、高い声を出す時の状態に似ている気がします。
ピアニッシモを出す時は、うめき声の声が出る一歩前の状態にして、息の量をコントロールしています。
これらは、無意識のうちにしている事が多いので、なかなか気が付きません。

舌の位置は、高音域と低音域では全く違います。
ただ、舌も、前後、中央を区別して使えるといいですね。
高音域では舌の中央はかなり上がります。ほぼ天井にくっつく寸前まで。でも前面と奥は、スペースがあり、最高音域と言えども響きを作る手助けをしています。

低音域では反対に真ん中をへこますくらいの気持ちで口内を出来るだけ広くします。
口内で、前面を広くしたほうがいいのか、中央を広くするのか、奥の喉に近いほうを広くするといいのかは、音域によっても違うでしょう。

また、アタックをした後、舌は前にとどまらずに少し後ろに下げて口内を広くすると豊かな音色を作りやすくなります。

かなり舌というのは音域によって変化して、アンブシュアを支えているのです。
これが、広い音域を吹いても、アンブシュアでの見た目の不変化を助長するのです。

というわけで、今回は口の奥の話だけに奥が深い。
お後がよろしいようで。

この続きはまた来月。


↑ ページトップへ戻る


ALEXANDER HORN OWNER'S CLUB (C)アレキサンダーホルンオーナーズクラブ事務局 All Right Reserved.