アレキサンダーファン
2006年02月掲載
プロフィール
阿部雅人 阿部 雅人
福島県出身。東京芸術大学音楽学部卒業。在学中に東京フィルハーモニー交響楽団に入団。
ホルンを永沢康彦、大野良雄、守山光三、千葉馨の各氏に、室内楽を山本正治、中川良平の各氏に師事。
東京文化会館推薦音楽会出演。96年に福岡、97年に福島でリサイタルを開く。
現在、新日本フィルハーモニー交響楽団団員。東京ホルンクラブメンバー、東京ミュージック&メディアアーツ尚美講師、日本ホルン協会事務局長。
アレキサンダーホルンアンサンブルジャパンメンバー。
第04回 達人の息吹


皆さんこんにちは。元気にホルン吹いてますか?
このサイトになってから、僕は読者の感想が聞けないので、これでいいのだろうか???‥‥と多少の不安を覚えながらも、勝手に話を進めて行きますね。もし、意見や疑問、質問、感想があったらどんどん編集部までメール下さいね。

では今回は前回に引き続き、どうしたら良いアパチュアを作れるかという話。最初に言っておきますが、ホルンが上手い!というのは、当たり前ですが、音が良く出るというだけではダメです。ピッチやリズム、音楽性などあらゆる要素が複雑に絡み合って初めて満足のいくものになるのですよ。ではなぜ技術的なことを勉強するのかと言えば、音を出すことが簡単になればそれだけ音楽的に高度なものを表現できるからだ、と言えます。決して高い音や低い音が出るから云々‥‥ではないと思います。

技術的な事を追求していると、つい本来の目標を忘れがちですが、ここでもう一度なぜ上手くなりたいのか?ということを考える必要がありそうですね。

というわけで、なぜ良いアパチュアが必要なのかと言いますと、音楽的な音を出すためなのです。香るようなピアニッシモや、地鳴りのようなフォルテッシモを出して音楽を幅広く表現するために必要な事なんですね。

僕は以前、高音域を大きく豊かに吹けないで悩んでいた時、アパチュアが狭いのだろうと、一生懸命に大きくして吹こうとばかり考えてました。これが間違いだと気が付いたのはだいぶ後になってからです。

音を一番コントロール出来て、なおかつ楽に音が出て結果的に音が豊かに聴こえるアパチュアというのは、かなり小さいのです。しかし、だからと言って無理に小さくしてもだめなのです。自然に適正なサイズになっていることが望ましいのです。

12月号(14号)に、歯と歯の間隔は意外と狭いのだ、という話をしましたが、それも適正なアパチュアを作るための一つの要素ですが、もう一つ、例えば、唇にマウスピースをセットする際に上下の唇を離してセットすればアパチュアは開き気味になるし、反対にぴったりとくっつけてセットすれば閉じたアパチュアになるでしょう?始めから閉じた状態にしておけば、高音域を演奏する際に必要以上に唇を締め付けたり押さえつけたりせずに済むわけです!ただ、その状態では低音が出難くなるから皆さん諦めてしまう訳ですね。
その状態でも低音を出せる吹き方は、次回以降に詳しく説明しますが、締めないでも高音が出るのだったら、楽でしょう?音も楽に聴こえるはずですよ。
要するに、唇をどう使えば一番楽に音を出せるかを考えればいいのです。

唇の内側を使うのか外側を使うのかという違いもあります。内側の柔らかい部分を使えばアパチュアは開きやすくなり、外側を使えばその逆です。柔らかい部分を振動させれば柔らかい音になりますが、バテやすくなりフォルテが弱くなるでしょう。外側を振動させればまたこれも逆の結果になります。
下唇を巻いて白い部分に当てたほうがいいのか、上唇は巻かないで柔らかい所を使ったほうがいいのか、または、上唇も軽く巻いた方が気持ちよく鳴るのか。どちらにせよ、自分にとって必要な方を選択すれば良いのです。ちなみに僕は軽く両方の唇を巻くようにしています。僕はその方が高音域が楽だし、自然に鳴ります。以前はかなり唇の内側を使っていました。巻くといっても歯にかぶせるように巻き込むのではなく、歯の前で巻く感じですね。
どの場合でも、楽に音が出れば良いのだと思います。

それから適正なアパチュアを保つためには、下あごの筋肉の張りが欠かせない条件になります。これも無理に引けば良いというものでもなく、自然にそうなるというのが望ましい。この張りが無くなるとppのコントロールが難しくなり、遠鳴りしない音になります。オーケストラなどと一緒にプレイすると、ピッチもはまらない音になるでしょう。反対に引き過ぎると、上唇にも余計な力が入ってしまい、これもまた適正な鳴りを阻害します。
下に引けない人は、引いてしまうと、本能的にアパチュアを開き過ぎて音が出なくなると感じてしまうからなので、そんな人は引いても音が出そうなところにマウスピースをセットするか(結果、上記のようにセットする)アパチュアの周りの筋肉と下あごの筋肉を綱引きさせるようにイメージしてみてください。(図1、写真参照)


図1

普段の形   吹奏時の形
普段の形   吹奏時の形


以前も言いましたが、良いアンブシュアというのは、絶妙なバランスの基に成り立っているのです。その一つでもなくなると、簡単に崩れてしまう脆いものなのですよ。僕もいつでも同じように安定して吹きたいと心から願っているのですが、なかなかそうは問屋が卸しません。

また、唇を横に引き過ぎないようにすることも大事です。これも長年の慣れや癖で、直すのはなかなか難しいようですが、ホルンらしい音を出すために必要なことですし、後で低音を吹く時に重要になってきます。

上級者にはアパチュアが開き過ぎている例がわりと良くあるのですが、ごく初心者にはアパチュアが広いという場合はあまりなく、狭くて締めすぎている場合がほとんどです。
初心者の段階では、詰まった音がしないように出来るだけフリーな音を目指して吹かなければいけないのですが、そのことを気にして吹いていくと、いつの間にかある段階になるとアパチュアが大きくなりすぎるようです。その原因は、ある程度吹けるようになると、低音にチャレンジするようになるからだと、僕は思っているのですが。
良いアパチュアを作るためには、色々なことを考えなければいけないのですが、この文は、一応アレキサンダーオーナー!の方向けに書いていますから、ある程度吹ける中上級者と仮定していますので、少し内容が難しいかも知れません。何度か読み直さないと分からないところもあるかな〜?

本当は、実際に音を出して説明すればもっと簡単にわかるし、こんな感じだね、と真似出来たり、良い音で吹けていれば、難しい事が分からなくてもな〜んにも問題はありません!(そう言ってしまうと、実もふたも無いですが)文にするとどうしても難しくなってしまいます。

ではまた来月です。

P.S 2月17日に、岡山県立美術館ホール、18日に東京文化会館、3月21日に岡山県の津山でホルンアンサンブルの演奏会があります。僕がどんな音なのか興味のある方は是非聴きに来てくださいね。


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